浄化用ソイル・詳しい解説

Chapter01

【水換えがなくなった!浄化用ソイルの概要】

<1>浄化用ソイルとは?

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代表的な浄化用ソイル「ブルカミア」

水草用の肥料入り底床土を起源とする多くの会社のソイル製品(通称:栄養系ソイル)と異なり、顆粒状のすべての粒の内部に各種バクテリアが大量に棲み着き、そこに水を通すことで、微生物分解による水の浄化を行う資材です。

「生きたままの土の濾過材」とも呼ばれています。1994年に特許が認められた「軟焼結土」という製造方法でつくられ、ナマの土の特性を保持しながら水槽内で平均1年以上使い続けられるため、「丈夫なソイル材」としても活用されています。

<2>水槽用ソイル製品の世界初の発売(1993年5月)

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この写真は、1993年、株式会社広瀬が、最初に、プラントサンドとして発売した当時の1993年5月号のアクアライフに掲載した広告です。水槽の底に土を入れて使う、という、業界初の製品となりました。

そして、この最初の広告の右欄には、赤く加筆して囲みを入れましたが、発売の当初から、当時は濾過循環の方式として、むしろ見捨てられつつあった底面濾過を併用することで、微生物活性から浄化用として優れていることを記載しています。

<3>二つの「ソイル」。コンセプトの違い

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株式会社広瀬が製造する製品群を「吸着系ソイル」と呼ぶことが一般化していますが、広瀬製のソイル製品は、何かを吸い寄せる吸着用につくられているわけではありません。

使っている特殊な原料土の性質によって、確かに強力なリン吸着(特許技術)などの特性はありますが、何かを吸着させて、水槽の外へ取り出すような、たとえば交換方式の活性炭濾材とか、フィルターの交換用スポンジとはまったく違う発想の濾過材です。微生物活性の高さを利用し、その場で最大限の微生物分解浄化を起こさせ、浄化に優れた効果を発揮する製品として、普及・販売を行っているものです。

つまり、

「水交換を行わずに、楽しく飼育ができる」

ということをコンセプトにしている製品、というのが、最大の特長です。

浄化用のソイル材である、「ブルカミア」を始めとした広瀬製の製品では、養分は微量にしか含ませていないか、まったく含んでいないため、底面濾過を行っても、有機物の溶け出し、またアンモニアなどの発生が起こることはなく、コケの異常発生なども最初から起こりません。そして各粒の内部に大量のバクテリアが定住できるようにつくられているため、底面濾過など、すべての粒を水が通水するように使うことによって、水の浄化が起こり、水槽用の濾過器設備を別に使う必要がなくなってしまいます。同じ水が溜まったまま、自然の循環で浄化が起こっている「池や湖の自然」をイメージした製品と言うこともできます。

<4>浄化の秘密。内部の表面積と、通水方式の改良

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走査型電子顕微鏡で、50倍に拡大した、「ブルカミア」の粒。月面のような凸凹が見えるが、この程度の倍率では比較的滑らかな表面に見えてしまう。

今から10年ほど前までは、広瀬製の「ブルカミア」などの浄化用ソイルについても、底面板を敷かずに使われてしまったり、また底面循環を行う場合でも、エアーポンプで送る空気の力で循環させるのが一般的でした。しかし現在では、より通水を多く行わせ、水槽全体の水を、おおよそ5分以内に1回という早いペースで、すべて底層に通水させるため、主に水中ポンプを利用した通水循環を行うことを、強くお勧めするようになっています。

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走査型電子顕微鏡で、対物2500倍まで拡大したブルカミア粒表面の写真。この拡大率で、画面の1ミリ以下のクレーターが無数に見え、1μm(1000分の1ミリ)以下の微細な凸凹が無数に存在することが確認できる。

ブルカミアの粒を真空状態の計測機器に置き、そこに水銀を入れ込んで、内部の構造を明らかにしてみると、空隙のサイズの大半が2μm以下で、0.02μm前後まで、細かく複雑な空間があることがわかります。

その内部の容積は、1リットルあたりに換算すると、

21479m㎡。

テニスコート40面ほどの内部容積があって、そこに大量の微生物が住み着ける構造であることが、次第にわかってきたのです。

ドイツ・エーハイム社製のセラミック製最高級濾過材「サブストラット」シリーズでは、1リットルあたり、450㎡ほどの表面積があるとのことですが、ブルカミアの内部表面積は、この40倍以上ということになります。

一つの水槽に、外部濾過器を40台設置して浄化することはできませんが、浄化にはたらく微生物が住み着く表面積の合計から見ると、従来の浄化装置の高級濾過材よりも、「ブルカミア」などの浄化用ソイルは、およそ40倍の差を持っていることになります。

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Chapter02

【水を通す効果は、想像以上にスゴい!】

<1>好気性、嫌気性両方のバクテリアがコラボ

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自然界では、地中で、好気性バクテリアと嫌気性バクテリアの両方が働いて、環境浄化が行われています。1μm(=1000分の1ミリ)以下の、とても細かな内部空隙(小さなすき間)を持っている「ブルカミア」。その一粒一粒に水を通すと、多くの水は粒々の間を通っていきますが、一部の水は、粒の内部を染み通ります。粒の表面には、酸素で呼吸するバクテリア(好気性細菌)がたくさん棲んでいて、一方、粒の内部には、酸素で呼吸しないバクテリア(嫌気性細菌)がたくさん棲んでいます。このことによって、天然の地中浄化とほぼ同じしくみが、水槽内でも初めて実現できました。従来、ほとんどの濾過器は、好気性バクテリアだけがよく定住し、有用な嫌気性バクテリアを上手に定住させることは困難とされてきました。「ブルカミア」は、有用な嫌気性バクテリアも同時に定住し、はたらくことで、自然界の生きた土の機能を、水槽内で再現することに成功。これが、「水換え不要」の大事な原動力になっています。

<2>「ブルカミア」内の豊富な好気性細菌

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その1(硝化作用):主に多数の硝化細菌と呼ばれる好気性のバクテリアが、魚の排泄物など、水槽内に常時発生する有毒なアンモニア態窒素を酸化分解し、低害な硝酸態窒素に変えます。

その2(ダイレクトバクター):従来、アンモニア態窒素は、Nitrosomonas属を代表とするアンモニア細菌によって、亜硝酸態窒素に酸化され、さらに、Nitrobacter属に代表される亜硝酸細菌によって、低害な硝酸態窒素にさらに酸化分解される順序が、一般的によく知られていました。亜硝酸は、アンモニアとともに、水中では有害物質で、1ppm以上存在すると、さまざまな生きものに悪影響を及ぼすことが知られています。そこで亜硝酸細菌による第2段階の酸化がとても大切なのですが、この亜硝酸細菌は、水質のpHや溶存酸素の低下に弱く、濾過器のちょっとした目詰まりなどがあると活動が低下するため、水槽は、いつも、有毒な亜硝酸の蓄積の危険性と背中合わせでした。この問題を解決するのが、土壌から検出される希少細菌群である アースロバクター類(通称:ダイレクトバクター)です。2007年、濾過材としては世界初、アースロバクターが、ブルカミアに定住することが明らかになりました。このバクテリアは、多機能菌として知られていますが、硝化作用を起こす場合、有害なアンモニア態窒素を、直接低害な硝酸態窒素に化学変化させてしまいます。亜硝酸蓄積の恐れがない、安全な浄化が、ブルカミアで実現したのです。

<3>嫌気性細菌:脱窒作用とメタン抑制

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その1(脱窒):主に多数の脱窒細菌と呼ばれる嫌気性のバクテリアが、硝酸態窒素を、気体窒素(N2)に還元します。気体窒素は水に溶けないため、空気中に放出されてしまい、水槽の中に硝酸態窒素が濃くなるのを防いでくれます。

その2(メタン抑制):水槽内で出る生物の細胞遺骸には、大量の炭水化物も含まれています。通常、炭水化物は、水底でメタン産生細菌のはたらき(メタン発酵)で、有害なメタンに分解されていきます。メタンは水に溶けないため、空気中に次々に出て行きますが、地中に常にメタンが発生していると、その影響で、植物の根の活動が抑制されてしまいます。自然界の生きた土の中では、「偏性メチロトローフ類」と呼ばれる嫌気性の土壌浄化細菌群が、メタンの発生を防ぎ、害のないCO2(二酸化炭素)と水に組み替えてくれているため、植物の根が元気に発育できます。「ブルカミア」内部には、この「偏性メチロトローフ類」も定住し、天然の生きた森の土と同じように、有害なメタン発生が抑制され、植物の根が生き生きと地中に張り巡らされます。

<4>CO2のダブル発生で、水草育成がカンタンに

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ブルカミアを十分な深さ(通水板の上に5cm以上)に敷き詰め、十分な通水量(水槽全体の水を5分以内に通水)すると、豊富な好気性細菌の呼吸と、内部深くで活動する、嫌気性メタン抑制細菌の偏性メチロトローフ類の還元作用の両方によって、豊富なCO2がダブルで発生します。これにより、あらゆる形の水槽で、ブルカミアの底床循環を行うと、CO2の濃度が、平均約5ppm以上で保たれます。5ppmという濃度は、通常の他の濾過器で循環稼働した水槽の1.5~2倍の濃度で、このことによって、ブルカミアの中を十分に通水している水槽では、水草が光合成を楽に行うことができ、CO2を強制的に添加していない従来水槽に比べ、飛躍的に水草育成が楽に行えるようになりました。

もちろん、ブルカミア水槽に、さらにCO2添加を行うことも可能です。

でも、もし、お手もとに、CO2添加システムがなかったら。そして、40cm以下の小さな水槽で、CO2システムの装着がしにくかったら。

ブルカミア水槽ならそういうときも安心です。

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<5>肥料なしでも水草がけっこう育ちます

水草育成が今ほど一般化しなかった時代、水底を通水すると、水草の育ちが悪いのではないか、と勘違いされることがよくありました。

そうした人たちは、栄養系ソイルを使用し、豊富な肥料を地中に与え、水中に溶け出す栄養は水草を阻害しコケ(付着藻類)発生を激化させてしまうため、栄養分の溶け出しがある程度止まるまで、水換えを繰り返し、新鮮な水を導入することで、水草を育成していました。

そうです。栄養系ソイルを使用する場合は、底面濾過はうまく利用できません。養分の溶け出しが、さらに激化してしまうためです。そのため、栄養系ソイルを使用し、試しに底面を通水してみたら、コケが激しくなり、水草が枯れやすい、という体験をすることになります。

ところが、微生物(バクテリア)の定住種数や定住量が豊富なブルカミア水槽では、底面循環をよく行うと、水草がどんどん育ち始めます。外から肥料を与えなくても、一般的な丈夫な水草なら、そのまま無肥料状態でも、生育してしまうのです。植物の三大栄養素である窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)は、水槽の中で、どうやって水草に供給できるのでしょう。

N、P、Kという三大栄養素は、実は、魚やシュリンプを飼育する際のエサの中にも、含まれています。ブルカミアの水底循環水槽では、糞尿を劇的に分解浄化するバクテリアのはたらきが起こります。その中で、まるで天然の原生林の足下で、季節に応じて、美しいスミレやランの花が咲き乱れるのと同じように、誰も肥料を与えなくても、植物が育ってしまうのです。

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水草育成の世界ではプロフェッショナルと呼ばれるある専門家の方から、「底面濾過」では、根のそばをいつも水が通るため、根から養分の吸収が阻害されるのではないか、という意見をいただいたことがあります。

全国の畑を見てみればわかります。わずか4日か5日間、雨が降らなかったあとに、久しぶりに雨の日が来ると、降り始めの雨は、毎秒10cm程度の速度で、地中にしみこんでいきます。受け皿トレーを敷いた鉢植えの草花に水やりをしたときにも、早いときには3~5秒くらいで下のトレーに水が出てくるのを、私たちはよく体験します。

底面濾過で、水深20cmの水槽で、もしも2分で水槽中の水が1回転するほどの、強力な底面濾過を行ったとします。2分で水が20cm分全部しみ込む速度と考えると、毎分10cm。久しぶりの雨が降った畑に水がしみ込む毎秒10cmの、60分の1の遅い速度です。

もしこんなにも遅い速度での通水で、根の活動や、根からの養分吸収が阻害されるとしたら、全国の畑で、毎年、ネギもキャベツも全滅しなくてはなりません。また、雨ドイのような構造の流路に肥料水を流す、最近流行の野菜やイチゴなどの水耕栽培では、肥料水を止めることなく24時間、流し続けています。

実際には、底面濾過を行うと、むしろ根の活動は活発化し、地中の深い場所まで、幅広く全体に根の盛んな活動域が広がります。

上のような例を挙げればキリがありませんが、自然界の日々の数十分の一という遅い速度でしか水槽の底を水が動いていないのに、植物に悪い影響があるのではないか、というのは、単なる思い過ごしです。

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※このページは現在、書きかけの項目です。2014年11月18日Chapter01掲載。2014年11月21日Chapter02掲載。最終更新:2014年11月21日。

 

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